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ゼーモク舟

 和船や筏船の専門家が、「ゼーモク舟」のことを調べるために、わざわざ千葉県から佐護にいらっしゃいました。しかも、島内の移動は原付バイクで!

 ゼーモク舟とは、材木舟のことで、スギの角材を連結した筏舟です。テングサなど海藻を採るときに使われていたので「藻刈舟」とも呼ばれています。ちなみに、対馬市有形民俗文化財に指定されています。

 今では、海に浮かんでいる生の風景を見ることはできず、公民館やシーランドステージに保存展示されているものしか見れません。

 その専門家は、この形態の筏舟は、日本でも、そして対馬でも佐護にしかない貴重なものだとおっしゃっていました。また、韓国の済州島にも同じような筏舟があるが、ゼーモク舟はスギの角材7本だが、済州のものは9本だとか、角材は長方形ではなく、安定感や推進力を増すために、微妙に海面側の辺が短く削られているのは興味深い、など専門的なお話もされていました。

 残念なことに、ゼーモク舟についてはしっかりとした記録や文献が無く、その専門家も、実際にゼーモク舟に乗ってられた方や船大工がご健在の間にしっかりと記録を取ってほしいと嘆いてられました。
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 あじさい祭り(H20年度)で体験用として浮かべられたゼーモク舟

 ゼーモク舟は、使用しない間は、バラして陸に保管していたそうですが、こんな重いものをどうやって陸に揚げていたのか!?と不思議に思っていました。私も以前から興味があったので、湊の漁師さんから聞いたことがあるのですが、一度陸に揚げて筏船をバラすのではなく、海に浮かべたまま、連結させている芯を抜き取って、1本1本、陸に揚げていたそうな。こういう知恵はもう文化財として展示されているだけでは、継承されないんだと思います。生物多様性も大事ですが、文化多様性も大事にしたいものですね。
ゼーモク舟_c0196087_0171568.jpg

 学生時代に済州島で見た筏舟。ん~、言われてみると確かに9本あるぞ!7と9の違いは何なんだ







 
by sagoku_tsushima | 2010-07-07 00:17 | 佐護の歴史・文化

国境の島・対馬の最西北端に位置する対馬市上県町佐護区。佐護の魅力や佐護を盛り上げるための活動・イベント情報をお届けします。


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