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百姓を守れ!

 2月3日(水)、佐護住民センターで「第1回佐護の米づくり勉強会」が開催されました(勉強会の模様は、2月5日の長崎新聞で紹介されていますので是非ご覧を)。

 勉強会では、農と自然の研究所・宇根豊さんが講演。

 みなさんは、赤トンボが田んぼで生まれ育っていることを知っていますか?ヘイケボタルも、メダカも、カエルも、さまざまな生き物たちが「農業生物」なのです。そして、農業生物や祭り、美しい農村風景、そして涼しい風、すべてを百姓が育んできました。

 実は、そのことを多くの人たちは知りません。それは、田んぼはお米を生産する場であるという環境と切り離された「まなざし」が国民の中にあるからです。日本農政も、近代技術によって生産収量を増やすことのみに力を入れ、田んぼを支えてきた百姓を守ることを忘れてきました。
 
 宇根さんは言います。「田んぼを守るのではなく、百姓を守れ」と。

 ドイツの農家の平均所得は400万円で、うち210万円は国の税金による直接支払いだそうです。しかし、国民から「百姓だけ何でそんな過保護をするのか」という苦情は出てきません。国民が、国土の風景を享受するために百姓の生活を支えているとい言うのです。

 そこで宇根さんは、百姓が日本の農村風景や生き物、日本人としての原風景感等を支えてきた結果に対し、ヨーロッパと同様、日本も田んぼを守るためというよりは百姓を守るための直接支払い制度(環境デカップリング)を導入する必要があるという政策提言をされています。

 また、講演の中で宇根さんは「産地間競争の中、味や安心・安全、減農薬では太刀打ちできない、そんなことやってももう遅い、対馬の農村風景やヤマネコを守るために米を買ってもらうという新しい仕組みづくりが必要」とのアドバイスがありました。特に、ツシマヤマネコという存在は他の地域からすればかなり恵まれているとのこと。

 ヤマネコといっても、山にばかり生息しているわけではありません。昔から、田んぼなどの里地でもその姿がよく目にされており、一部の地域では「田ネコ」と呼ばれているほどです。
 それは百姓の手により維持されてきた田んぼが、ヤマネコの餌となるネズミやカエル、鳥など多くの生きものたちを育んできたからです。田んぼは、お米を作るだけでなく、ヤマネコをはじめとする多くの生き物たちを支えているのですね。

 今後、ヤマネコをはじめ多くの生き物を守っていくためにも、米づくりを持続させなければなりませんし、農家を守っていく必要があります。佐護の農家の高齢化は進み、若手の担い手はごくごくわずかとなっています。担い手づくりのためには、ブランド化を図り、島外に向けて高く買ってもらうような働きかけや仕組みづくりが必要になってきます。

 また、地産地消。島民のお米消費の考え方もチェンジ!していく必要があります。「あなたは、荒れ果ててゆく対馬の農村風景に涙をこぼしつつ、内地産のお米を安いからといって買いますか?」と。

 いろいろ、考えさせられる勉強会でした。報告以上。
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by sagoku_tsushima | 2009-02-07 01:15 | 佐護の農業

国境の島・対馬の最西北端に位置する対馬市上県町佐護区。佐護の魅力や佐護を盛り上げるための活動・イベント情報をお届けします。


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